映画『シン・ゴジラ』を観る前に読んでおきたいオマージュ漫画、巴啓祐『神の獣』

昨年放映された庵野秀明監督の『シン・ゴジラ』が早くも地上波テレビで放送される。僕は映画館に観にいっているが、また見返そうと思う。

その前にどうしても読んでおきたかった漫画がある。それが円啓祐の『神の獣』という漫画だ。この漫画は実に25年前の漫画であるが、『シン・ゴジラ』に似ているとしてネットで話題になっていたのだ。

f:id:slices:20171112202242p:plain

*少しだけですが『シン・ゴジラ』も『神の獣』もネタバレ含むので気にされる方は読まないでください

 

シン・ゴジラは神の獣のパクリか?

主に2ちゃんねるまとめサイトでこの『神の獣』が話題になっていた。漫画の何枚かのページが公開されていて、そのどれもが『シン・ゴジラ』を彷彿とさせるものだった。

海で発見されるがなかなか現れない未確認生物、政府の視点、シン・ゴジラでは斬新だと思った背びれからの攻撃もある。

というわけで導入部分は似ているなと思ったのだけど、よくよく考えてみると、どのゴジラだってだいたい海から登場するし海へ帰っていく。未確認巨大生物登場なんて国難だから政府や自衛隊が必ずでてくる。その程度共通点なのでネットでパクリと言われるほどのものではないと思った。

シン・ゴジラ』と言えば政府の地味な会議にリアリティを持たせて、震災対応した政府を彷彿させることによって皮肉るというテーマ性を感じるのだが、『神の獣』はそういうシーンはない。普通のパニック映画の時に右往左往する政府というテンプレな感じでそこに物語の焦点はない。

 

オマージュとも言えるのだろうけど、庵野監督がこの作品を知らないということもあり得ると思う。庵野監督はウルトラマンが好きだったり、特撮マニアだったりするのだろうから知っているかもしれないけど、ここからネタを持ってきたとは思えない。

もし、自分が作るならと考えると、「王道の怪獣映画を作るならまあこうなるわな」という道を正しくなぞっているだけとも言える。それだけに25年前の漫画ということを踏まえると『神の獣』は恐ろしく完成度が高いと思う。

なので僕は『神の獣』はネットで数ページ観たときと違って、もうほとんど最初から『シン・ゴジラ』とは別物として読めた。そしてめちゃくちゃ面白い漫画だった。

 

神の獣はシン・ゴジラ2まで描いている?

『神の獣』はすごいシーンの連発だ。怪獣が日本列島を破壊しまくるのだ。日本映画では到底できないシーンだらけである。

こういう建物が破壊されるシーンは漫画だからこそできるとも言えるが、大友克洋を思わせる絵柄で書き込み量がすごい。物語はもとより、絵でも楽しめる。

 

シン・ゴジラ』のゴジラ福島原発の比喩のように描かれ、作中では現実の原発の現状に収束するが、神の獣はその先を行く。その続きがある形だ。ともすればシン・ゴジラの続きであるとも読める。

あそこでもしゴジラが止まらなかったら。あそこでもし福島第一原発が止まらなかったら。神の獣のラストのようになってしまうのではないだろうか。

 

おわり

『神の獣』は王道の怪獣漫画だと思う。そして『シン・ゴジラ』は怪獣映画の新しい王道だと思う。怪獣という大きな共通点があるから似ているだけで、パクリやらオマージュやらを超えた面白さが両方の作品にはある。

シン・ゴジラ』がヒットしたおかげで『神の獣』が発掘されて電子書籍化したようで、これはとてもいいことだと思う。『シン・ゴジラ』が面白いと感じた人はぜひ『神の獣』も合わせて読んでみてもらいたい。

 

 

slices.hatenablog.com