【『わにとかげぎす』全4巻】リアル路線の古谷実漫画の入り口はこれ?冴えないおっさんに突然彼女ができる

映画『ヒメアノ〜ル』を先日見て、僕の古谷実熱が高まっている。というわけで本棚から引っ張り出したのは『わにとかげぎす』全4巻。これは僕が古谷実漫画を見限った作品だったが、今改めて読むとやっぱり面白かった。

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『わにとがげぎす』ってどんな漫画?

タイトルの”わにとかげぎす”とは、硬骨魚網の分類群のワニトガゲギス目のこと。簡単にいってしまえば深海魚のことであるらしい。4巻の表紙はカラフルに描かれてはいるが、深海魚だ。

主人公はスーパーで夜間の警備員をする32歳のおっさん。このおっさんがまさに深海魚というわけだ。夜勤で友達ゼロで何もせずこの歳まで暮らしてきた深海魚のようなおっさん。『わにとかげぎす』はこのおっさん(富岡)が主人公で巻き起こる日常を描いている。

 

冴えないおっさんに突然彼女ができる

前作の『シガテラ』あたりから、古谷実漫画は「冴えない主人公に突然彼女ができる」という展開がお約束になっているイメージがあった。改めて今読んで思ったが、僕にこのイメージがついてしまったのはまさにこの『わにとかげぎす』だ。続く『ヒメアノ〜ル』でも1巻で同じような展開だったので、またかと思って読むのをやめたのだ(読むのをやめたのを後悔するほど、先日見た映画は名作だった。漫画はまだ読んでいない)

若くて綺麗でスタイルもいい女性(羽田)がアパートの隣人で、顎のしゃくれた髪ボサボサで額も怪しくなってきている32歳の主人公に熱烈な恋心を抱いている。羽田は幼少の頃から男性のタイプがトランプのジョーカーで、富岡がジョーカーに似ているから好きになるのだ。そんな理由で付き合うものだからギャグ漫画かと思えばそうではないのが『わにとかげぎす』なのだ。

少々のギャグとともに、リアルな出来事が描かれる。『行け‼︎稲中卓球部』や『グリーンヒル』などのギャグ漫画ではない古谷実漫画を知りたいなら入り口としてはとてもいいと思う。

 

リアルな描写

主人公の富岡は、その人の良さからいろんな事件に巻き込まれる。この事件というのが本当にリアルなのだ。日常のそこらへんに転がっていそうな、それでいて普通の人にはそうそう起こらないような出来事。例えばヤクザのお金の持ち逃げ事件だったり、借金取りに追われるホームレスが殺されそうになるところに出くわしたり。社会の表にはなかなか出てこない出来事だ。

古谷実の漫画はこれらの描き方が妙にリアルなのだ。実際のところはわからないのだけど、古谷実、こんな経験あるの?」と思ってしまうようなリアルさがある。実際はこうなんだろうなと思ってしまう説得力があるのだ。これはディティールがしっかりしているからだろうか。(例えば、富岡がホームレスを救うために200万払った時に、借金取りがなぜか20万まけてくれるところとか)

このリアルな描写が古谷実の真骨頂だ。読者を惹きつける。こういう裏社会的なテーマの漫画はいくつもあるんだろうけど、画力、台詞回し、人物像などで他の漫画とは一線を画すリアルさを感じるから惹かれるのだ。

 

2017年夏にドラマ化

なんと『わにとかげぎす』は今年2017年の7月にドラマ化するらしい。なんともタイムリーである。くりぃむしちゅー有田哲平が連ドラ初主演するらしい。

www.tbs.co.jp

 

おわり

これを読んでいた学生時代よりも、大人になった今は古谷実漫画のリアリティをより感じるようになった。出てくるセリフに感じるところがある。人の心の深いところを突いてくる。これがドラマではどう描かれるのか楽しみである。

 

 

slices.hatenablog.com

 

 

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