本当の天才を知りたいなら元大学教授で小説家の森博嗣の『小説家という職業』を読めばいい

とても面白い本を読んだ。元大学教授で現在は小説家の森博嗣の『小説家という職業』という本だ。小説家になりたい人が手に取るような本かもしれないけど、そうでない人の方が面白く読めるかもしれない。

森博嗣は『すべてがFになる』や『スカイクロラ』などシリーズものが多く、多作な人だ。僕は全く読んだことがない作家だが、映画のスカイクロラはテーマが面白かったので小説も面白いんだろうなーくらいに思っていつか読んでみようと思っていた。

とにかく作品が多いのでどれから読めばいいのか悩む作家である。今回、新書である『小説家という職業』が僕の森博嗣の初めての本となった。

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本当の天才を知りたいなら森博嗣を読め

この本を読んでいて、僕にはちょっとした既視感があった。それは何かというと『ハンターハンター』のメルエムだ。(最近僕はハンターハンターを一気読みした)

メルエムはドラゴンボールで言うところのセルとか魔人ブウで、ラスボスのような存在だ。身体能力も頭脳も人間よりも圧倒的に優れている存在である。『ハンターハンター』では、全てにおいて優れた存在であるメルエムが、生まれてから世界をゼロから認識し、一気に上り詰める様が描かれる。

 

森博嗣は大学教授として大学に勤務する傍ら、30後半で小説を書くと決意する。この時小説を書くには何が必要か、どうすればいいのか、ゼロから考えて計画的に取り組んでいく。そこには全くの無駄がない。

最初からシリーズものが有利だと考えていたり、デビュー作に全てを注がないように自分でコントロールしていたり。

全くの素人、しかし能力がすこぶる高い素人が、小説の世界を把握しどんどん上り詰めていく感じなのだ。なんでもできる天才という感じがあった。森博嗣が小説家になる過程が有能すぎて、僕は『ハンターハンター』におけるメルエムの無双感を思い出したのだ。

 

森博嗣はもともと能力値が常人とはかけ離れている人なのだ。少し抜粋する。

ただ、不思議なことに、自分には「書けない」と思ったことはなかった。どうしてかわからない。僕の場合、これは小説だけに限らない。絵も描くし、作曲もしたし、なんでもやろうとしてできなかったことはない。

絵もかけて作曲もできてってすごい。そもそも僕なんかはチャレンジする気持ちすら起きない。絵なんかはすぐ始められるけど、下手すぎてすぐに挫折する。

 

自分に対して、1ヶ月に1作ずつ書いていこう、と緩やかなスケジュールを立て、そのとおり実行した。結果的に5ヶ月後には5作が書き上がっていた。

この計画実行が驚きである。大学教授として務める傍ら一日2時間程度の時間をかけるだけで作品を仕上げてしまうのだ。1作目なんかは2週間で書き上げて出版社に作品を送ったらしい。

そもそも1ヶ月に1作が緩やかなスケジュールという感覚が理解できない。

 

おわり

森博嗣がやっていることには全く無駄がない。高性能コンピューターのようである。考えがあってそれ通りに実行する能力があって、淡々と成功していくという感じがあった。

考えも正しいし(ネット黎明期からネットをどう使えば有効かということも考えていて、当時からネットの正しい使い方を見通していた)、実行する能力も長けている。まさに天才である。

『小説家という職業』という本は、本当の天才はこういうことなんだなと思い知る本だった。