西原理恵子『生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント』は真面目な日本人必読の書

「日本人は真面目だから」とたまに耳にする。そこには凝り固まった考えで柔軟性のない典型的な日本人を揶揄する意味が含まれている。そんな日本人と自分は違う、と僕自身は思っているけど、実は僕も普通の真面目な柔軟性のない日本人だったかもしれない。

西原理恵子の『生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント』を読んでそんなことを思った。

 

生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント

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内容(「BOOK」データベースより)
飲酒で高校を退学処分。水商売でアルバイト。離婚したのち、ガンを患った元夫の最期を看取る―。「おカネ」「男と女」から「ビジネス」「家族」「トラブル解決法」まで、波瀾万丈の人生で培った処世術を伝授する。

この本は西原理恵子が寄せられた様々な悩み相談にひたすら答えて行くという形式だ。相談はありきたりなものが多いが、だからこそ共感するものが多い。

ありきたりな相談なので、普通に答えたら普通に面白くない内容になりそうなものだが、そこはサイバラ節が光っている。普通の相談だからこそ西原理恵子の考え方の面白さが浮き彫りになっているのだ。時には笑えたりもするような、砕けた内容である。

 

60にのぼる相談は仕事や家庭など、大きく分けて5つ。

  • 第1章【仕事編】商いは小さなことからコツコツと
  • 第2章【家庭編】近くて遠くて好きで嫌いで
  • 第3章【男と女編】ヤリたいときがヤレるとき
  • 第4章【性格編】直すより慣れろ
  • 第5章【トラブル編】上手なウソは人生の通行手形

この本で語られるいわゆるサイバラ節と呼ばれるものはなかなか痛快である。悪知恵と言うだけあって堂々と人に語れないような気がするものもちらほら。しかし、真面目に枠にはまっていて暮らして、その環境に生きづらさを感じている人は一読の価値があるような柔軟な考え方ばかりだ。

冒頭に西原のその考え方が記されている。

 日本人って「正直であれ」とかよく言うけど、真面目すぎると生きづらい。もっとウソつきでいいんじゃないかと思います。
 私がこれまで漫画家として生き残ってこれたのは、正直じゃなかったから。ウソをつくのを悪いと思ってない。一番最初のお客さんである編集者を、いかにダマすかというところから始まっています。
(中略)
 もうひとつよかったのは、プライドがなかったこと。私の仕事はお客さんを笑かしてナンボなので、自分の表現がどうとか関係ない。もらえる仕事はなんでもやってきた。身もフタもないことを平気でできるというのは大事です。プライドでご飯は食べれません。
(中略)
 生きるって、みっともないことだし、みっともなくていい。あの手この手で、どうにかして生き残ったものが勝ち。そのためには、ついていいウソがある。人のお金をくすねるとかいうのじゃなければ、ウソをうまく使えばいい。

 

僕でも、「こうじゃいけない、ああじゃなきゃいけない」と日本人は思いすぎていると把握はしている。自分はそうじゃなくありたいと思っている。けれども、そのような典型的な日本人通りに自分も生きてきたのかもしれないなと西原の相談に対する解答を読んでいると思う。

それはウソの使い方だったり、自分のストレスの発散方法だったり。

例えば、「人の手柄を自分の手柄にしてしまう嫌な上司がいる」という相談に、真っ当な回答を提示した後にさらに西原はこう付け加える。

 あとは相手の机にゴミをぶちまけるとか、ちっちゃな嫌がらせをコツコツやって弱らせるという手もあるけど、自分の気持ちのバランスとして許せる範囲でやってください。

まあこういう軽いウソや嫌がらせでバランスを取るということも必要なのかもしれない。自分の気持ちのバランスとして許せる範囲というのがポイントだ。小さなことでもこういう陰湿なのはエスカレートして行きやすそうだし、そうなると収拾がつかなくなってしまうだろう。でも「いざとなればこういうこともできる」と思うだけでも少し違ってくる気がする。

 

おわり

真面目すぎるなと自分で感じている人は必読の書である。生きづらさが緩和されるはずだ。自分のことを真面目だと思っていない僕でも「自分は真面目すぎたのかなあ」と思うこともあったし、役に立ちそうなヒントがたくさんあった。

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