アルピニスト野口健が一芸入試で大学に合格した方法がすごい

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大学では通常の学力テストではなく面接で入学者を選抜する方法がある。一芸入試とかAO入試とか呼ばれているものだ。一芸入試では受験者の特技や熱意がその合格基準となる。

昨日このブログで紹介した山田ズーニーの『あなたの話はなぜ「通じない」のか』という本に、アルピニスト野口健のエピソードがあった。野口健一芸入試亜細亜大学に合格し、そこからアルピニストとしての道を歩み始めたらしい。

自己アピールをする場である一芸入試。ここで野口健が合格した方法がすごかった。では、野口健は一体どのようにして一芸入試の試験をパスしたのだろうか?

 

過去ではなく未来を語る

野口健自身が語っていたようだが、彼は高校までは落ちこぼれで勉強もできなくていわゆる不良だったらしい。あんなにも目がクリクリとしているのに不良だなんてにわかには信じられないが。

不良で勉強が苦手だった野口は、学科試験がないからという理由で一芸入試を受験したようだ。普通によくありそうな一般的な理由である。

この時点で野口にアルピニストとしての実績はない。登山はしていたものの、まだ大きな山を2つ登っただけで、登山家としての実績は少なかった。自分のアピールポイントは少ないのだ。

試験会場で、ライバルの受験生たちの自己アピールはすごかったという。インターハイの優勝選手や国際コンクールで入賞した者などがその栄光の経歴をアピールしていたという。

そんな中で自分をどうアピールすればいいか、野口健は考えた。そして過去の栄光をアピールする受験者たちとは違う方法をとった。それは

未来を語る

という方法だ。

ライバル受験生の過去はすごいけれど、皆一様に過去の実績をアピールしているので面接官はうんざりしてくる。それは自慢でしかない。そこで野口は自分の未来を語った。

それも、期限付きで語ったのだ。「1990年8月ヨーロッパ大陸モンブラン登頂」というふうに期限と場所を明確にしてアピールした。

 野口さんは、7大陸の最高峰制覇を期限入りで予告した。自慢できる経歴がないから、それしかしようがなかったというが、他の受験生と全く違うプレゼンテーションに、試験官たちは、身を乗り出した!拍手喝采。

 

具体的な未来を語る

野口健が語った未来は期限付きだったというのがポイントだ。曖昧な大きな夢ではなくかなり具体的な未来、目標を語ったのだ。

これが、「僕の夢を聞いてくれ」でなかったところがミソだ。いかにでっかい夢を語ったとしても、単なる夢物語ととられてしまったら、うさんくさがられるだけだ。(中略)

 いっさい修飾は用いず、「いつ?何を?どうする?」だけで書いているのも、どんな人にもわかりやすく、解釈のブレがない。

 よくある「目標に向かってガンガン突き進みます!」とか、「かたっぱしから高い山をジャンジャン登っていきます!」というような表現と、与える印象の差を見てほしい。

野口健が語る目標は、明確で完結で誰にでも伝わる。過去を自慢するでもなく、ただ未来を語るのではなく、期限付きで未来を簡潔に語ったというのが野口の一芸入試突破の決め手となったようだ。

 

おわり

野口健のこのエピソードは『あなたの話はなぜ「通じない」のか』という本の最後の章の一節「初めての人に自分をどう説明するか?」というテーマで出てくるものだ。

ここでは、自分のことを何も知らない人に対してどうやって信頼を築いていけばいいのか、実践的なことが書かれている。

僕にはもう一芸入試なんてする機会はないけれど、このエピソードから学ぶことは多かった。

 

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