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山田ズーニー『あなたの話はなぜ「通じない」のか』/正論はなぜ人に伝わらないのか

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普段のゆるい感じの人とのコミュニケーションを円滑にするための方法が書いてある、コミュ障向けの本かと思ってポチっておいた本なのだが、内容は違っていた。

山田ズーニーという人の『あなたの話はなぜ「通じない」のか』という本には、実社会の業務で役に立つコミュニケーションの方法が書かれている。

コミュニケーションの方法といっても、そう簡単なものではない。「明日からできる!」みたいな簡易的な方法はない。でも、明日からコツコツとできる、それが力になるだろうなと思える方法が書いてある。

 

嘘を言わずに自分の本音を伝えるには

仕事をしていると本音を言えない時が多々ある。本当は違うと思っていてもそんな自分の意見を押し殺した方がその場は円滑に進むとき、多い。いちいちぶつかっていては話が進まないから言わない。上司に対してといなると特に本音は言えない。言えないし、言わない方が楽というのもある。自分が思ってもないことを言って相手に話を合わせたりする。

ぶつかる意見を発言するというのは、それなりに体力がいる。だから、僕の場合はほとんどが意見を押し殺すことになる。そしてストレスが溜まっていくのだ。

 

そんな時にどうやって人に自分の意見を伝えればいいのか?この本では、うまいこと波風立てずに伝えられそうな方法が書かれている。

ポイントは先に相手の立場を考えること。

「相手はなぜ自分とは違う結論に至ったのか?」、「その結論が出る過程で、自分の意見との共通点はあるのか?」など、意見の前のに存在する筋道を考えるのだ。

どうしても自分の意見というのは堂々と力説したくなる。自分で考え出した答えはドヤ顔で語りたいものである。でもそれは自分のエゴでしかない。そんなエゴは捨てて、相手の立場に合わせて自分の本音を言うための工夫をする必要があるのだ。

この本ではその具体的な例も出して解説してあってわかりやすかった。

 

正論はなぜ人に伝わらないのか

正論の話。「なんでわかってくれないんだ、こっちの方が正しいのに」という思いでいつも伝えている。正論なのに伝わらない、そんなことってままあると思う。

この本では「正論はなぜ人を動かさないのか」という章があり、ここから学べるものはたくさんあった。

人は、自分でつかんでいきたい生き物なのかもしれない。なぞなぞで、もう少しで答えが掴めそうなとき、正解を言われたら、相手を怨むだろう。謎解きをするときのぞくぞくする感じ、わかったときの、頭にパッと電流が走り、すっと腑に落ちる爽快感。

 正論を拒むのは、人間の本能かもしれないと私は思うようになった。正論は強い、正論には反論できない、正論は人を支配し、傷つける。人に何か正しいことを教えようとするなら、「どういう関係性の中で言うか?」を考え抜くことだ。それは、

正論を言うとき、自分の目線は、必ず相手より高くなっているからだ。

 教えようとする人間を、好きにはなれない。相手の目線が自分より高いからだ。そこから見下ろされるからだ。

なるほど、確かにそうだ。自分が正論を伝えようとした時にはなんで伝わらないんだと思うけど、逆に正論を言われた時にはちょっとイラっとする。その原因は目線なのだ。

対等だと思っている相手に正論を言われてもイラっとするのは、その目線が急に変わるからなのだ。対等だったはずが、急に上からになってしまうのだ。

当然、先生と生徒というような、最初から上下関係がきっちりある関係では、これは発生しない。

 

望んでもいない相手に、正論をふりかざすのは、道行く人の首根っこを捕まえるような暴威だ。まして、あなたと対等でいたい、あなたより立場が上でいたい、と思っている相手なら、無理やりその座から引き摺り下ろし、プライドを傷つけ、恥をかかせる。

 だから、相手は、あなたの言っていることの効能を理解するよりずっとはやく、感情を害してしまう。理性より先に感情の方が、ずっとコミュニケーションスピードが早い。相手は、あなたを、「自分を傷つける人間だ」と警戒する。

正論に対する理解よりも先に、上から目線に対するちょっとした嫌悪感が先に来てしまうのだ。感情が先に動いているから、論理的な理解を一旦やめてしまう。だから伝わらない。

「理性よりも先に感情の方がずっとコミュニケーションスピードが早い」というのは、人に意見を伝える時に覚えておきたいキーワードである。

 

おわり

この本では、ちょっとだけ意識すればできることや、がっつりとした考え方の方法論など、実社会で円滑にコミュニケーションをする術が書かれている。中でも「正論が伝わらない」という話から始まった「目線」の話が面白かった。

どんな人でも役に立つ本だと思う。何度も読み返したい良書である。

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