普段から尊敬している人(年上)が突然ハゲをカミングアウトしてきた時に返す言葉

僕はとある趣味のサークルに参加している。そこに参加し始めてもう3年近くなる。

そのサークルでは30代の僕が一番年下で、他はほとんどが40代だ。年齢も関係するが、そのサークルに入ってきたのは僕が最後なので下っ端な感じのポジションに僕はいる。他の人たちはそこそこ長い付き合いらしい。

 

そこにはAさんという僕よりも10歳くらい年上の人がいる。この人がすごくいい人で僕は日々尊敬している。

Aさんはきちんと仕事をしながら、まだ小さい子供を育てながら、奥さんの自由さにも振り回されながら、ささやかな楽しみとして趣味の活動に勤しんでいる。

ある時、みんなで一緒に飯を食って夜遅くなり、「Aさん明日仕事ですか?」と聞くと「そうなんだよねー。それにその前に子供らを幼稚園に送らなきゃいけないんだ」と笑顔で答える。

それがもう深夜の話なのであと2〜3時間後にはそうしなければならないのである。なのにこちらから聞くまでそう言うことは言わず、必ず最後までみんなに付き合ってくれる。かっこいい大人というのはこういう人のことを言うのだなと僕は日々学んでいる。

 

そんな活動に僕が参加し始めて1〜2年ほどたったあたりだろうか。ふと気がついたことがある。そういえば僕はAさんの髪を見たことがないなと思った。Aさんは常に帽子をかぶっているのだ。

夏はメッシュキャップ。40代だけど若々しくてイケメンだからすごく良く似合っている。冬はたまにハットをかぶったりしていて大人のダンディさを漂わせている。ともかく、どんな時でも常に帽子をかぶっているのだ。

 

「ああAさんは常に帽子だな、あ、やっぱり今日も帽子だ」と心の中で思う期間が続いた。そうなると勘ぐってしまうのがAさんの頭皮状況だ。40代、もう三分の一くらいの男性の頭皮が寂しくなってくるような年齢だ。

年齢に加えて、仕事のストレスや家庭のストレスなどの辛さをほとんど漏らさずに自分で抱え込んで、いつもニコニコと振舞っているAさん。それらストレスが毛根に影響しても不思議ではない。

 

そんなある日、あれは夏だった。Aさんはふらっとみんなが待つ部屋にやってきた。Aさんは帽子をかぶっていなかった。頭は、、、

ハゲていた。

 

いつもはメッシュキャップかハットでダンディなAさんのヘッドには、黒い炎が燃えていた。おでこが広く、それをヘアワックスで立ち上げてモヒカンのような感じになっている。有名人でいうとブラマヨの小杉のような感じだろうか。

僕はくるべき時が来たのだなと思った。しかし、どんな声をかけていいのかわからなかった。心の中では「うわーーうわーー」と大騒ぎだった。いつかくるのかなと思っていたけど、こんなときにどうやって声をかけるべきか考えたことはなかった。そんな僕の備えの悪さを呪った。

 

その時ある人が

「あーAさん、ずいぶんスッキリしましたねー」

とにこやかに声をかけた。するとAさんも

「そうなんだよ夏だしねー」

なんつって笑顔で答えた。

 

。。。

 

一件落着である。それからは普通の話に移っていった。

 

 

ずいぶんスッキリしましたね。」なるほど、素晴らしいリアクションである。そして変な間を作らなかったスピード感、言葉のチョイス。見事としか言いようがない。僕は感心してしまってその後もしばらく何も喋れなかった。

 

ハゲをスッキリと言い換えて、その場にマッチする存在に変えたのだ。素晴らしい。というかこの言葉をかけた人は僕とは違って心が綺麗だから、同じものを見ていても目に見える世界が全然違うのだろうと思った。

 

言葉のテクニックとして知っておいたほうがいいと思ったけど、そもそも自分の根本の心の汚さをどうにかしなければいけないのだなと思った出来事である。

 

 

 

slices.hatenablog.com

 

広告を非表示にする