ちょっと懐かしい漫画『シリウスの痕』がkindleセールで投げ売りされていたので買ってみた

不定期に行われるkindleのセールはすごい。50%オフなんぞ当たり前でたまに90%オフなんてこともある。

以前kindleまとめ買いセールとやらで『シリウスの痕』という漫画が全4巻で100円を切っていた。

僕はこの漫画を1話だけ読んだ記憶があった。確かエヴァンゲリオンにハマっていた時、エヴァの漫画が少年エースでやっていると知り、立ち読みか何かしたのだと思う。

その時にたまたま新連載で始まっていた『シリウスの痕』を読んだのだ。

サイボーグ系のSF漫画で、今後面白くなりそうだなと思った記憶がある。ただそれ以降は読む機会がなかった。

 

以前kindleセールを物色していたらこの懐かしい『シリウスの痕』が投げ売りとも言える価格で売っていたので買ってみた。読んだことはないのに、「あの時代のSF」という感じの妙な懐かしさを感じた。

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シリウスの痕』高田慎一郎

シリウスの痕』は基本的にはバトル漫画だった。

裏社会で「闘犬」と呼ばれるサイボーグ同士の戦いに金を賭けて楽しむというギャンブルがある世界。その闘犬で無敵を誇って伝説になった少女が主人公。

闘犬のサイボーグは脳だけは人間だ。しかし、その脳は自我を失って人間時代の記憶はなくなっており、相手を殺す兵器としてしか動いていない。しかし主人公はなぜか人間時代の記憶が戻り、闘犬の世界から逃亡する。

その逃亡生活、そして主人公がサイボーグ化した理由、サイボーグ技術の行方などが物語の中心だ。

 

惜しいところと、死にすぎない良さ

全4巻でコンパクトにまとまっていて展開もスピード感があって面白かった。しかしもうちょっと頑張ればなかなかいい作品になっただろうなと思ってしまった。惜しいのだ。

 

こういうバトル系漫画では難しいのだろうけど、強さの基準がどんどんインフレしていってしまうのが気になった。

最初から主人公のサイボーグの戦いには人間はついていけていない。しかもそのサイボーグがどんどん進化していくので周りの軍隊などとのギャップが激しすぎる。

後々、主人公と同じ、記憶を取り戻したもう一人のサイボーグが現れて戦う。結果そいつと一時休戦し仲間になり、量産型サイボーグとの対決になってゆく。でいてその量産型は妖精の力を持っていて、なんか超強くなっている。

その強さに度肝を抜かれるわけだが主人公たちもすぐに妖精の力を得る。あとは妖精の力が段階的に増えていく。最後はオリジナルが一番強いよねという流れ。

僕は妖精が出てきたあたりからちょっと白けてしまった。このあたりの流れをもっと丁寧に書けていたらよかったのだけど。

 

ただ、この代わりに展開にスピード感があって一気に読める。

バトルはだらだらと長く続いたりはしない。それでいて腕を切られてしまったりだとか、胴体が引き裂かれてしまうなどのショッキングなカットがうまく使われていて印象に残る。

サブキャラクターの過去などもきっちり書かれていて物語の骨子はしっかりしている。そしてキャラクターが”死にすぎない”。


最近の戦闘系の漫画は人がよく死ぬ。大勢死ぬ。人の死にすぎる漫画はどうもそのバランスが大切になってくる。

死で絶望感を煽ることができたり、感動を呼びやすいのだろうが、死を「テクニックとして使っているな」というのが少しでも見えてしまうと白けてしまうのだ。

「こいつ死なすからいいキャラにしよう」とあらかじめ決めているんだろうな、と読んでいるうちにわかってしまうような表現は白けるのだ。死の重みも麻痺していく。

シリウスの痕』にはそれがない。人は死ぬけれど、死にすぎない。そこがいい。

 

おわり

引き込まれていくような物語の深さはないけれど、漫画的なテンポの良さで最後まで一気に読めた。

最終回は駆け足で、物足りない部分はある。人気を維持しながら物語の伏線を回収していくのは少年漫画にとっては難しいことなのだろう。ただ、なんとかまとまっている。

少年漫画としては、斬新でキレのあるなかなかいいSF漫画だった。