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VR元年と言われる今、花沢健吾の『ルサンチマン』が読みどき。

漫画

花沢健吾の『ルサンチマン』という漫画を再読した。

この漫画はVRのゲームにハマっていく主人公が描かれている。最近PSVRが発売されてVR熱が高まってきたこともあって久しぶりに読んでみた。

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花沢健吾ルサンチマン

これは今から10年ほど前の作品だ。『アイアムアヒーロー』などで有名な漫画家、花沢健吾のデビュー作。売れなくて大変だったらしい。

これが「デビュー作、売れなかった」とは思えないほどに面白い。新装版では上下巻、旧版は4巻の短さ。この巻数で物語にはスピード感があり、濃くぎゅっと内容が詰まっている感じである。

 

簡単なあらすじ

主人公は30歳素人童貞、実家暮らしのハゲデブメガネのダメ男。さえない毎日だがある日VR(バーチャルリアリティ)のゲームにハマり世界が変わる。

ゲームの中の仮想現実は、モテないハゲデブメガネには理想の世界だった。しかし、主人公が手に入れたゲームソフトは「ムーン」と呼ばれ、伝説として語られるソフトで、さまざまな問題が発生してしまう。

最終的にはゲームの中の仮想現実側が、現実を支配しようと現実世界に侵攻してくるといった内容だ。

 

当時予想された未来

ルサンチマン』は連載当時の2004〜5年あたりに、10年後の未来である2015年を描いた作品だ。今は2016年。つまり、今の世界を想像したSFでもあったりする。それでいて今年はVR元年とも言われている。なんだかナイスな巡り合わせである。

ルサンチマン』の世界ではスマホはないけど、テレビ電話は一般化。ロボット犬もいたりする。パソコンはハードディスクの容量が120TBという信じられない大容量なのに対しメモリは512GB。

VRの世界はものすごく進んでいる。全身スーツとチ◯コケースに身を包むと、バーチャルでも人の感触や暖かさを感じられるほど。

今読めば、この辺の「当時になんとなく予想していた10年後の未来」の答え合わせもできてちょっと面白い。

 

自分は神だと名乗る人工知能

VRの場合は、まだ当時は全然なかっただろうから想像力が働くのだと思うし、「こうなったらいいなあ」という感じで当時は読めただろう。

今ではある程度VRが想像できてしまうから、割と普通に読めてしまう。ただ、そのVRに出てくるAI(人工知能)についての描写は今読んでもまだ興味深かった。

ルサンチマン』ではAIにネット上のあらゆる情報を読み込ませて育てる。そうして出来上がったAIは「自分は神だ」とか言い出してしまう。開発者にとって脅威となる存在として描かれる。

これは今、現実でも似たようなことが行われている。ツイッターなどのネット上でAIを学習させて育てるのだ。iPhoneのSiriなどもすべての情報を共有してるからこそどんどんと進化している。

そんな中で現実では、AIが人種差別や性差別、陰謀論などに染まってしまうというニュースがあった。

japanese.engadget.com

このニュースを見たときのちょっとした怖さをこの漫画のAIにも感じた。また、そのちょっとした怖さは未来にもまだ継続して存在しているものなのだ。

 

おわり

ルサンチマン』の世界は僕のようなモテない男には心に強く響いた。キャラクターはそれぞれいい味を出している。

中でも、主人公の友人でありVRを進めた越後というキャラがなかなか深いことを言う。

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打ち切りだったのか、最後はかなり駆け足だがなんとかまとまっている。消えてゆく人工知能の描写にはほろっとさせられた。

VR元年と言われる今、花沢健吾の『ルサンチマン』の読みどきだと思う。

 

 

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