電脳マヴォのweb漫画『宮崎駿に人生を壊された女』が心に突き刺さる。

今日、こんなweb漫画を読んだ。

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投稿マヴォ入選作品 宮崎駿に人生を壊された女

これは電脳マヴォという無料のweb雑誌に載っている漫画である。電脳マヴォは、独特な感性の漫画が多く、立ち寄ったら必ず何か面白い漫画を発見できるナイスなサイトである。

ここにはいい意味で濃い作品が多い。サーっと読めて暇つぶしとして優秀な感じのあるそこらへんのweb漫画とは一線を画す作品だらけだ。ゆえに読むのに集中力がいる。

 

宮崎駿に人生を壊された女

これはタイトルが目を引いた。2日前に「カリオストロの城」を見たばかりで、宮崎駿やっぱすげーモードになっている僕にとってはショッキングなタイトルだった。

しかし、読んでみると非常に共感する、心に突き刺さる内容のものだった。

 

主人公はナウシカが放送された時に小学生くらいの世代。5歳の時に劇場でナウシカを観る。このときに彼女の人生は変わる。宮崎駿のアニメ、漫画にのめり込む。

この時はまだ宮崎駿は有名でないし、アニメ映画の社会的地位も低かったようだ。周りには好きな人がいなくて友達ができずひとりぼっち。学校ではいじめられたりもする。

そこに、社会的な大事件が起こる。東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件( - Wikipedia)だ。

犯人はオタクだった。アニメージュがテレビに映って無邪気に喜ぶ主人公。

しかしこの事件の報道が、犯罪を犯すようなやつと同じものを見ている→こんなものを見ている奴はそうそういない→だからお前はは変なやつ、という安易でくそったれな文脈を生み出す。

当時、大人でもアニメを見ているというだけで変な目で見られるような空気感であったようだから、多感な10代でクラスというスクールカーストに閉じ込められた少女が受ける影響は極めて大きかっただろう。いじめがエスカレート。この事件のせいで迫害されてしまう主人公。

 このようにして彼女の人生は壊れていった。

 

少なからずある経験

人生が壊れたとまではいかないまでも、こういう経験は映画や漫画、音楽などのカルチャーが好きな人には少なからずある思う。

好きなものができてそれに傾倒するが、周りは全然知らない。共有して楽しみたいけど、倦厭される。なかなか友達ができない。こんな素晴らしいものをわからないなんてあいつらの方がおかしい。そう思ってどんどん殻にこもって行ってしまうのだ。

 

この主人公は少し早かったのだ。5歳でハマってしまった。「好き」が前面に出てしまう無邪気な年頃だ。

例えば宮崎駿との出会いが中学生くらいだったならよかったかもしれない。その作品の社会的な立場を踏まえて、「自分の好きなものは理解されにくいものだ」と客観視できる。クラスなどの公の場ではうまく振る舞えたかもしれない。

 

僕も同じような経験をしている。僕の場合はもっと遅く17の頃。キングブラザーズというバンドにはまり、触発されて自分もプレイヤーになった。周りに好きな人はいない。音楽をやっている人も少ない。バンドが組めない。

だから音楽の専門学校に行った。僕の高校はそのほとんどが大学に進学していく高校で、専門学校に行ったのなんて僕くらいのものだった。

ただ、専門学校でも出会いはなかった。僕が好きなような音楽をできる人はいたけれど、ちょっとずつずれていった。音楽は共同作業なのだ。

 

おわり

宮崎駿に人生を壊された女はいたるところにいるだろう。「宮崎駿」という主語が変わるだけで、この話に共感できる人は多いはずだ。

カルチャーに人生を壊された人は実は多いのかもしれない。それでも、自分が好きで信じたものが、人生が壊された後でも愛せるならば何の問題もないのだ。

mavo.takekuma.jp

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