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手〇〇が出来ないと嘆くチャラ男が、会社にとってなくてはならない存在だったという話。

春が来た。春は出会いと別れの季節である。そんな季節の予感は僕にはまだない。出会いと別れというか「入れ替わり」という感じだ。

 

チャラ男登場

今週のお題「印象に残っている新人」ということだし、4月なので、僕の印象に残っている新人の出会いと別れの話を書こうと思う。

その男は二十歳ちょうどだった。長めでチャラい茶髪、ちょっと腰で履いている作業着、一発でチャラ男だなとわかる風貌だった。

僕はそういう奴が苦手だし、そもそもみんなすぐ辞めていく会社なので最初は距離を取っていた。チャラ男とかヤンキーなんてのは特にすぐに辞めていく。

聞くところによると彼は地元でも有名な不良高校の出身。高卒で就職したが、延々と何かを組み立てる工場の作業に嫌気がさして3ヶ月で退職。そのあとはアルバイトを転々としてニート期間を経て僕のいる会社にやってきたようだ。

チャラ男はかなりグイグイ来た。誰とでもフレンドリーに接した。チャラ男でもあるけど要するにヤンキーでもあるので、上下関係がしっかりしていた。しっかりと先輩を立てるしあらゆるところで筋が通っていた。

「ヤンキー=運動神経がいい」ので体を動かすうちの仕事は要領よく覚えていった。すぐに仕事ができる人になった。

仕事はできるし、地元が近かったり年も会社の中では近い方だったので、人見知りの僕もすぐに仲良くなった。

 

今でも覚えているのが、そいつがよく言っていたチャラい一言である。

僕たちの仕事は現場作業なのでとにかく手が汚れる。休憩中や仕事終わりに自分のその手を見て

「いやーこんなんじゃ手◯ンできないですわー」

と、ことあるごとに言っていた。彼は真剣に悩んでいた。僕は「ああチャラ男だな」と思った。

 

5年ほどいたそのチャラ男は、いつの間にか会社にとってなくてはならない存在になっていた。明るく場を盛り上げる。ボケられる。誰とでも仲良くできる。そういう奴はうちの会社にいなかった。

一時期は本当に楽しい職場環境だったと思う。仕事は肉体労働でつらいけど、笑い飛ばせる空気があった。その中心にはいつもチャラ男がいた。

 

そいつが去年辞めてから、バタバタと人が辞めていった。それまでも普通に人は入れ替わり続けていたのだけど、5年選手のチャラ男が辞めてからは、仕事ができる人たちも少なからず辞めていった。

slices.hatenablog.com

 

おわり

春は出会いと別れの季節である。うちの会社では先月もそして今月も一人辞めるから、また新人が入ってくることになるんだろう。まず、続く人、次にこのチャラ男みたいなおもしろ人材が入ってこればいいのだけど。

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